心も体も限界・・・自分ひとりの面倒も見られないくらいしんどい・・・
ひとり暮らしで近くに頼れる人もいない・・・
つらいですね・・・
・・・そんなときは「湯治」が一つの選択肢になるかもしれません
- 心身ともに疲れきっている人
- 家事などがしんどいくらい弱ってはいるが、入院するほどではないと感じている人
- 何らかの事情で家族を頼れないひとり暮らしの人
- 家が散らかっていて休もうとしても気が休まらない人
- とにかく今いる場所から離れたいと思っている人
※注意事項
- 「温泉でうつ病が治る」というわけではありません
- 心身の不調についてはまず病院で診察を受けてください
- 本当に深刻な状態の人は、主治医に相談して入院や訪問看護の利用を検討してください
- うつ病の急性期の環境変化は、症状を悪化させる可能性もあるため、無理には行わないでください
- 自分の心と体と主治医とよく相談してください
私は主治医からの了解をもらいました
私は食事、寝床、お風呂を代わりに準備してもらえて、自分を完全に休ませることを目的に利用しました
温泉って女一人でもいけるの?
きちんと宿を選べば大丈夫。
最近は「現代湯治」や「リトリート」という言葉で女性客をターゲットにする施設もあるようです。
女性客を大切にする宿はホームページも力を入れているなあと感じました。
事前にどんな施設、設備、食事なのかがわかると安心ですよね。
なぜ湯治に行こうと思ったの?
当時の私は、まだうつ病の急性期にあったと思います。
当時の私の心身状態(※内容から外れますので読みたい方のみどうぞ)
(時期)
- メンタルクリニックに通院して3か月
- 病気休暇をとることを決めた段階
- 半年以上、部屋も風呂もそうじができず、家はひどい状態
(仕事)
- 毎日21時すぎまで残業&プレッシャー&合わない仕事が半年以上続く
- 毎日10時間ひたすらPCに向かう
- 週に2~3日仕事にいけない日が続く
(こころ)
- 同僚と雑談ができない(余裕がない)
- 休日も仕事のことが頭から離れない
- 休みの日、休みをとった日はベッドから起きられない
- 一日泣いている、外にいても涙が出て止まらなくなる
- 無気力、意欲・集中力の低下
- 自分は何が好きなのか全く思いつかなくなる
(からだ)
- 目が半分しかあかない(常に薄目)
- 頭、首、肩、腕、背中がとにかくこって痛い
- 右肩~指まで痛みがひどくPC作業が滞る
- 音に敏感になり疲れがひどいため、仕事中でも一人になるために離席してしまう
- ふわふわしためまい、ふらつき
- 自律神経失調
- 過緊張(眠るときも身体から力が抜けない)
- とにかく家と仕事から自分を切り離す必要性を感じた
- 病気休暇に入っても自分の身の回りのことをこなすのは無理と感じた
- 「湯治」という言葉の持つ「治してくれそう」な感じにすがりたかった
理由としてはこんな感じでした。
温泉って自律神経、メンタルに効果あるの?
温泉の適応症の掲示については、各都道府県知事にゆだねられているようですが、掲示基準が示されています。
一般適応症として、
- 自律神経不安定症
- ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)
泉質別適応症として、
- 自律神経不安定症
- 不眠症
- うつ状態
それ以外にも、入浴行為そのものによる血行促進や、自然の多い環境で過ごすことなど、複合的な作用でこころの状態にもよい影響があると考えるのが良いと思います。
くわしい温泉の適応症については別にまとめました。
自在館を選んだ理由
湯治に行くぞと決めてから、インターネットで色々探しました。
長く泊まれるところ、あまり古いのはやだな、食事が出るところ、もちろんお値段も気になる。
で、めぐりあったのです。
新潟は栃尾又温泉「自在館」に。
「ひとり暮らしの女性」の湯治にマッチしたポイントがたくさん。
- 女性のおひとり様を歓迎してくれる
- 「静養」に特化していることを謳っている
- 送迎がある(+公共交通機関で行ける)
- 観光でなく湯治旅館であること(人が多くない、騒がしくない)
- ぬる湯で長湯ができる(ほかになにもしなくていい、癒すことに専念できる)
- 朝食、夕食付でしかもヘルシーで量もちょうどよさそう
ご自分で探されるときもこのあたりをポイントに探してみてるといいかもしれません
自在館に泊まってみた感想
(※利用したのは2022年秋です)
移動がラク
ぐったり疲れ切った心身で、宿と電車の予約、荷造りは最低限で頑張る。
このときの私の持ち物についてはこちらにまとめました。
さあ、あとは当日きっぷを持って電車に乗るだけ。
特に何もないような場所(失礼)なのですが、上越新幹線の浦佐駅があります。
家→電車→新幹線→宿の送迎車→宿、と一人でも山奥に行けるのがありがたい。
行きの電車、送迎車ではただただぐったり荷物を抱えて目を閉じてじっとしているのが精一杯の状態でした。
散らかった1kの部屋のベッドで天井を眺めているより100倍よい
宿についてあてがわれたお部屋はこちらでした。
あああああ~~~~
ちょうどいいこじんまり感!
川の流れの音!
たたみ!ベッド!
おちつくわ~~~~(泣)
このとき、私は心身ともにボロボロで半年以上部屋の片づけもできていませんでした。
食器を洗うこともしんどくて紙皿や割りばしを使うほど。
そんな部屋にいるのはちょっと過激ですがセルフネグレクトと呼べる状態だったかもしれません。
とにかく脳がごちゃごちゃしているときに、このすっきりとした、でもほっこりこじんまりした余計なものがない部屋で眠れることがとてもありがたかったです。
温泉が使い分けできる
栃尾又温泉はぬる湯です。
ちょっと冷たいと感じるくらい、ちょうど平熱の体温くらいです。
このぬる湯はほかの旅館と共同で使用していますが、平日でしかも感染症の関係か、人はそれほど多くなくいい感じに他人と距離を確保して入浴できました。
お風呂の写真は撮れませんのでHPでご確認ください
ぬるいのでずっと入っていられます。
長く入っているとついウトウトして湯に鼻や口がついてむせそうになったり・・・
ジッと静かに湯につかる。
瞑想しているようにだんだんと脳も静かになり、自分の体を労わっているように感じられました。
湯治ですから、一緒に入っている知らない人たちも何かしら弱っているのかなと思うと、なにか仲間っぽさ、親近感も感じつつ、しかしお互いに干渉せず静かにただただ湯を体にしみこませる。
そんな感じが心地よかったです。
ぬる湯であがるとただただ寒いので、加温された湯につかって温まってから上がります。
初回、それを知らずにぬる湯だけで上がって脱衣所で凍え死ぬかと思いました。
自在館には独自の源泉もあり、宿内にも貸切風呂があり、そちらはしっかり加温されています。
貸切ですからこちらはひとりでのんびり入れます。
シャンプーや体をしっかり洗うのにはこちらを使用しました。
露天風呂もあって、明るいうちからひとりで入れるなんて最高でした。
栃尾又ならではのぬる湯での瞑想と、のびのびしっかり温まる貸切風呂、それぞれ楽しめるので一日温泉に入っても飽きませんでした。
ごはんがおいしい
連泊中のある日の夕食はこんな感じでした。
派手さではなく、家庭的ともいえるお品で、でもちょっと味付けや取り合わせにこっている感じ。
そしてどれもおいしかった!
量も私にはちょうど良く、味わいながら食べると非常に満足できました。
そして新潟の銀シャリ。ちょうどいい固さの炊き加減。
軽い水菓子もうれしい。
朝食の写真は撮り忘れましたが、納豆やヨーグルトなどの発酵食品や魚など、量はほどほど、栄養はきちんと、もちろんおいしかったです。
毎食、食事が楽しめる幸せを噛みしめゆっくりゆっくりいただきました。
こんなきちんとした食事もほんとうに数か月ぶりでした
食べることがただの作業になっていたので・・・
生き返ったわ;;
ほどよくほっといてくれる
「自在館は、静養を目的とした湯治宿でございます。」
そう謳っていらっしゃるとおり、過剰なサービスはなし、声掛けも少なめ。
ですが、手書きのメッセージなどにおもてなしの心を感じました。
また、利用者にも静かに過ごすようにお願いしているのも私は好感が持てました。
実際、ほとんどの時間を静かに過ごすことができました。
(1組のおばさまグループの滞在中を除いて)
・誰も自分のことを知らないのが心地よい
・街中でなく山の中の静かなところでぼんやりできる
ああ、サナトリウム(よく知らないけど)のようなものかもしれない・・・と思いました
ほんとに1か月くらいここで過ごしたかった!
帰ってきてからの変化
食事を自炊するようになった
夕食に、ご飯とみそ汁(一汁一菜)を作って食べるようになりました。
宿で食事のもつ心身を満たす力を感じたからです。
私にとってはとてつもない進歩です。
実は、これまでみそ汁、作ったことなかったんです、私。
いや、ほんとに
お恥ずかしいですが調理実習以来です
あとは、宿に置いてあって読んだ土井善晴先生の本の影響です。
そのときはパラパラと読み、そのあと図書館で借りたのはこちらの本。
米はまとめて炊いて冷凍、みそ汁はエノキとミニトマトと冷凍野菜に卵か冷凍竜田揚げを具に。
あとは自家製梅干し。
こんな10分くらいでできるものでも、「自分で作った、自分のための食事」を「いただく」とそれだけで「あ~しあわせ~」となりました。
自分で自分を満たす、という感覚を初めて正しく実感したかもしれません。
毎日はなかなかできていませんが、まあまあ続いています。
お風呂につかることの重要性を感じた
分かってはいるんですけど、めんどうなんですよね。
特にメンタル不調のある方は、シャワーすらできない日も普通にあると思います。
私も休日は3日くらい入れずベッドから一歩も動かない状態でした。
でも、宿で風呂そのものへのメンタルブロックが外れたのか、家に帰ってからもしばらくはときどき湯舟に入るようになりました。
エプソムソルトやクナイプなどを入れるといい気分転換になることも気づきました。
・・・まあ最近はまたシャワーだけになってしまっていますけども。
掃除が・・・ハードルになってます・・・
まとめ
- 心身ボロボロのひとり暮らしで誰も頼れない、でも入院するほどでもない
そんな人に湯治はかなりおすすめ - お住まいから行きやすいところで隠れ宿を持つと心のお守りになる
- 心身の不調で病院にかかっている場合は、主治医の指示を仰いでください
- 本当に生活できないレベルまで悪化している人は、入院や訪問看護の利用を検討してください
- 湯治は養生するところなので静かに過ごしたい方が行くと幸せになれます
- 元気いっぱいな方は観光目的の温泉宿に泊まったほうが楽しめます
自分に合ったいい湯治宿がみつかるといいですね!